理系大学生必見!大学院に行くべきか

はじめに

理系大学生なら誰もが考える大学院進学

しかし、学費や学部卒との社会経験など不安な点が多くあると思います。

某私立大学院在学中の筆者が大学院のに進学するメリットについて執筆します。


私立と国立

国公立大学の理系学部では約8~9割の学生が大学院に進学しています。

一方で私立は早慶といった難関大では7割と高いものの、それ以下の大学では3割程度にとどまります。

その大きな理由として学費が挙げられます。

学部(4年間)院(2年間)総額
国公立大学約214万円約135万円約349万円
私立大学約600万円約200万円約800万円

私立の学費は国公立の2倍以上となっています。

さらに2年間の社会人経験がなくなると考えると大きな差が生まれます。

しかし、大学院の奨学金は学生自身の所得が基準のため、学部より審査が緩いです。

また、TA(ティーチングアシスタント)や学会発表、論文投稿の内容によっては奨学金が全額または半額免除となることもあります。

また、給付型も多数あるため、「お金がないから…」と考えている方も一度調べてみると良いと思います。


生涯年収で見る差

日本において、院卒(修士号・博士号取得者)と学部卒(学士号取得者)の生涯収入には大きな違いがあることが示されています。

まず、学士号を持つ人々の初任給と比較して、修士号や博士号を持つ人々の初任給は一般的に高い傾向にあります。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、2022年のデータでは、学士号取得者の初任給は平均約21万円であるのに対し、修士号取得者は約23万円、博士号取得者は約27万円となっています。

さらに、生涯収入の観点からも、大学院卒業の経済的メリットは明らかです。
日本政策金融公庫の「国民生活基礎調査」によれば、学士号取得者の生涯賃金は平均して約2億5,000万円、修士号取得者は約3億円、博士号取得者は約3億5,000万円に達します。

このような点から、院卒が学部卒に比べて、生涯で数千万円から1億円以上の追加収入を得ることができると考えられます。

この収入差は、以下によるものです:

・深い知識と高度な専門スキル

・キャリアアップのスピード

・院卒が特定の職種の必須条件

もちろん、大学院進学には学費や生活費、時間といったコストが伴います。
しかし、長期的な視点で見ると、院卒が生涯にわたって得る追加収入は、これらの初期投資を大きく上回ることができる傾向にあります。



大学院進学で身に付くスキル

①高度な分析能力

研究では様々なデータを分析し、定量的な結果に基づき評価・比較します。
その中で複雑な課題を論理的に解決する能力が身につきます。


②批判的思考力

研究は新しい技術を開発するきっかけを作る物です。
そのためには既存の手法にメスを入れ、新しい案を考え出すことが必要不可欠です。
そういったスキルは社会に出ても大いに役立ちます。
例えば、新規事業の提案です。
商売を進めていく上では「他社製品との差別化」がキーとなります。
批判的な思考を持つことで既存の製品の特徴とは一味違うオリジナリティーの高い案を提案できる人材へと成長することが可能です。


③コミュニケーション力

大学院では異なる分野の研究者と話したり、プレゼンテーションをして自身の考えを相手に伝える機会が多くあります。

その際に必要なのがわかりやすく、具体的に、シンプルに必要な情報を取捨選択して伝える力です。

例えば筆者の研究室では教授の意向でプレゼンテーションの機会が週に一回と他の研究室に比べて多く設定されていたりします。その中で、違う研究をしている学生等にプレゼンを聞いてもらい、分かりづらかった箇所を指摘してもらっています。

このようにしてプレゼン能力を向上させると、就職してから即戦力になるだけでなく、就活の際に自分の強みをわかりやすくアピールできるというメリットもあります。



③タイムマネジメント力

研究では自分のタスクを自分で管理することが当たり前です。

学部生や中高生のような「時間割」は存在せず様々なタスクを、自身でペース配分して行う必要があります。

このように自信を管理していく力は、会社または私生活において大きく影響していきます。

資格の勉強をする、リモートワークで業務を進める、マネージャーとしてプロジェクトのタスク管理をするetc…

大学院生活で得たタスク管理能力はこれから生きていく上で大いに役立ちます。


④専門技術力

これは理系であれば大学院に進むことのメリットとして誰もが第一に考えることでしょう。

なぜ院進することで技術力が身に付くのか?

それは学部で身につけた知識の「使い方」を知ることができるからです。

学部の授業では理論について座学で学ぶのがメインですが、実際問題にどのように応用できるかという話をされる機会は少ないと思いますし、されてもなかなか想像できないと思います。

なぜなら応用するには深い理解が必要だから。

応用例を自身で体験できるのが「研究」であり、応用するために知識を深めていくのです。

深い知識をつけると、その分野における研究職につきやすくなります。


⑤柔軟性と適応力

研究するということは最先端の技術に触れるということです。

現代では、技術が目まぐるしく変化し、一度身につけたスキルで食べていくことは現実的ではありません。

また、最先端の技術は既存の様々な技術が組み合わさってできているため、自信が学部で学んだ知識のみでは研究で全く通用しません。

そこで自分の専門分野以外のリサーチが必要不可欠になります。

これによって多角的な視点を養うことができ、いろんな可能性を加味して物事を柔軟に捉えることができる力が身につきます。


筆者が院進して感じたこと

筆者自身は私立の中堅大だったため、院進率は2〜3割というとても低い水準でした。

しかし、就活まで終えた今、大学院に進学してとても良かったと考えています。

実際周りの就活状況を見ても、大手や上場企業に就職する人が学部の時より圧倒的に多いですし、一部は中堅大の学部卒では絶対に入れないような大企業に就職している人もいました。

その要因として、何よりも研究という孤独での戦いの中で「自身と向き合う機会」が多くあったことが大きいと感じています。


最後に

大学院進学は、これらのような経験とスキルを身につける機会を提供し、キャリアの発展や個人の成長に大きく影響します。これにより、専門分野での高度な職務や研究職への道が開かれます。

皆さんもぜひ大学院進学を視野に入れてみてはどうでしょうか?

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